karasunogyozui2008-05-08

 04年帰省したS氏は、普及面で大きな功績を残した。04年後半から06年前半まで続いた斉藤教室は、小中学生を対象に、棋書を丁寧に読み、実戦を重ねていくものであった。
 塩見、三森、本池の高校生、07年9月のこども教室対抗戦(大阪)優勝の沖田、田口君はじめ数多くの子供達は、S氏の教え子である。
 写真は先月12日の西部支部道場で小学生に指導するS氏。


選抜奮闘記4*1
とき  平成15年(2003年)11月30日(日)
ところ 駒沢大学
棋戦名 学生王座戦 関東代表選抜トーナメント決勝(二将戦)

第4譜
先手 岡部亮 (早稲田大学2)
後手 斉藤健一(慶応大学4)



F図以下の指し手
△78金 ▲58玉 △48歩成 ▲同金△68金 ▲47玉 △46歩 G図 通算指手82手


 ここで歩を叩(たた)くのがポイントで、後では入らない。同角となった瞬間、△82飛とすれば恐らく詰まない。岡部玉は詰むか詰まないか解らない。詰みの解らない玉を詰まし損ねて負けた石橋戦が頭をよぎった。しかし自玉が詰まなくても次に詰めろをかけられてしまい、負けると思ったため、詰ましに行った。


G図以下の指し手
▲46同角 △36銀 ▲同玉 △26飛成 ▲47玉 △46竜 ▲38玉 △27銀 ▲同玉 △36角 ▲38玉 △48飛成 ▲同玉 △47歩 ▲38玉 △48歩成 ▲同玉△47歩 ▲38玉 △48歩成 ▲同玉 △47歩 ▲38玉 △48歩成 ▲同玉 △58金▲39玉△57角成 ▲29玉△47馬 H図 通算指手112手



 上から押さえて、角が57、67のどちらにも成れるから詰みと思っていたが、飛車を切った後に解らなくなった。△58金に▲39玉でどうする?△47馬に▲38歩で詰まないんじゃないか?天国から地獄へ落ちる気がした。
 実際歩の成り捨ては、他の詰み筋が無いか探すための時間稼(かせ)ぎである。この時点で岡部は自玉が詰みを逃れたと思い、また僕も岡部玉に詰みは無いと思った。葛山さんも齋藤負けだと思っていたそうである。指し手に、意識はしなかったが勢いがなくなっていた。
 「負けか。自分が負けて王座戦行けなかったら泣くなぁ。」と思いながら、他に指す手も無いので△47馬と寄った。それから気がついた。岡部もどうやら異変に気づいたようである。歩合いでも、他の合駒でも詰んでいるのだ。ギャラリーはもう少し前から詰みだと気付いていて、小川なんかは心配そうに見ていたらしい。しかし自分は全く詰みが解らない。詰みまで指して岡部は投了した。
 対局が済むと、足立さんと握手をした。藤井に勝った時もそうだが、すごく喜んでくれた。「齋藤、やっぱり勝負には強いよ。」という褒(ほ)め言葉を頂いた。確かに自分は盤外をも駆使(くし)して、何とか勝った。(斉藤健一
 

*1:慶應棋報119号上巻右の画像)・斉藤健一氏の自戦記より