なつかしい人

karasunogyozui2009-05-10

「中年の初夢」と題する湯原幸雄氏の文章(今から13年前)です。最近は大会で見かけなくなりました。


 今年の正月、新年会と称し、西部支部の主カメンバーの各氏を富益*1の拙宅に招待した。
 料理の鉄人*228号こと私、姓は湯原で名は幸雄(一部で「ワァ―モの浜弁*3の紳士」と報道とされているが、少しムッとしている。)見事な包丁さばきで、湯豆腐はじめ豪華料理の数々。
 今年の夢を語ろうという話となったが、どういうわけか皆悲しい中年となり、正月早々くたびれており、往年のパワーがない。
 支部の運営の裏方の話ばかり。こども教室の盛況をどうやって続けていくかとか、二月の高木杯の残念賞のイカをどうやって解凍させるとか、いつもの将棋大会のあとの反省会の時と同じだ。


 えぇ―い、バアーと飲んで騒がいや。お前やちゃ、夢がないだかや。ワァは初夢を見たでぇ。平井さん*4もワァに敗けてなあ、ワッハッハ・・・
 というわけで、私の夢を皆に聞いてもらおう。『今年は、竜王戦の県代表になる!』なぜか皆は黙って、私の料理に箸を運んでいる。(内心、私の強さを認めているのかしれない。何といっても去年はあと一歩で21世紀王将*5のタイトルを逃したのだから。)
 「県代表を取ったら、次は天童で全国大会。山形は美人も多いし、いいな。そこで、優勝したら、今度はプロの竜王戦第六組だ。東京の連盟での一局だ。林葉直子*6に会えるぞ。その次は、本戦。皆からは雲の上の人と言われるかも知れんな。本戦決勝で谷川九段を得意の空中戦で連覇すると、羽生竜王*7と七番勝負だ。温泉めぐりができるぞ。
 竜王取ったら、賞金が三千万円だで。将棋界始まって以来の快挙だがん。羽生竜王の嫁さんの畠田理恵ちゃんを泣かしてしまうかも知れんけど、仕方がないわい。ワァが強いだけん。なぁ。
 三千万円。岩敷、お前見ことないだら。来年は東京の銀座で三日三晩飲まいや。みんな、心配せんでもええけん。湯原竜王にまかしときないや。」【平成9年1月】 



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 写真は神戸の街の筆者(平成9年4月)

*1:米子市富益町

*2:当時の人気番組のタイトル

*3:弓ヶ浜弁

*4:当時の西部名人

*5:95年から5年間続いた山陰地方のタイトル戦

*6:当時の人気女流プロ棋士

*7:筆者に錯誤あり。この時点では谷川竜王。