朝日アマ名人戦山陰ブロック大会を振り返ってその1
今年最後の大会、朝日アマ名人戦山陰ブロック大会では西部支部の若手がベスト8に4名残る大活躍でした。
鳥取、島根の将棋界をみても若手の台頭著しく両県ともに世代交代の波が押し寄せているようです。
今日は事実上の決勝戦と見られていた準決勝「原田智也、阿部広之介」戦を振り返って見たいと思います。二人とも強豪がかたまった鬼ブロックで本命を連破して勝ち上がってきたのはさすがです。原田君は急戦からの鋭い攻めが持ち味です。一方の阿部君は定跡に明るくスキのない将棋を指します。阿部君が原田君の攻めを受け止めることができるかどうかが勝負の分かれ目です。
戦型は四間飛車穴熊対地下鉄飛車。あまり見かけない形ですが、いかにも原田君好みの戦法ではあります。いきなり阿部君の穴熊が攻めつぶされそうですが・・・。
▲8五桂に△7五歩と突いたのがうまい手で▲同角に△7四銀と出て巧みに受けます。攻めるしかない原田君▲9三桂成から、角を犠牲にして▲9四歩とじっと端歩を伸ばしましたが、阿部君も△8四銀と引くことができほっとした様子です。▲9四歩では▲9二成桂から▲9四香と直接攻める手もあったように思います。
▲3四飛と廻ったところで一段落ですが、形勢はどちらが良いのでしょう?ここで阿部君長考に入ります。やはり玉が薄くて嫌味な攻め筋が多くある後手が勝つのは大変そうです。△9四香と攻防に打ち、▲8五桂には△8四香とさらに香車を打ってがんばりますが、▲7三銀とからまれなかなか楽になりません。
原田君の▲7四銀がねらいの一手で決ったかと思いましたが、△6二角がしぶとい受けでまだまだ大変です。この後も難しい攻防が延々続きましたが、持時間が切迫した阿部君がわずかに受け損なったようで原田君が熱戦を制しました。原田君、代表まで後一勝です。
☆昨日おこなわれた女流名人戦挑戦者決定戦で里見香奈倉敷籐花は清水市代女流王将に惜しくも敗れました。不利な形勢から最後までよく頑張ったのですが、一歩及ばなかったようで残念です。相手も一流女流棋士、里見香奈対策に万全を期しているようです。タイトルを取ってからはきびしい将棋が続いていますが、この試練を乗り越えさらなる飛躍をしてもらいたいものです。
開始日時:2008/12/14(日)15時
終了日時:2008/12/14(日)16時
先手:原田智也
後手:阿部広之介
棋戦:朝日アマ名人戦山陰大会準決勝
戦型:四間飛車穴熊対地下鉄飛車
手合割:平手 30分切れ負け
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △4四歩 ▲4八銀 △3二銀
▲3六歩 △4二飛 ▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二玉
▲5六歩 △8二玉 ▲5八金右 △9二香 ▲9六歩 △9一玉
▲9五歩 △8二銀 ▲6六角 △4三銀 ▲7七桂 △5二金左
▲8八銀 △6四歩 ▲6八金上 △7四歩 ▲9八香 △5四銀
▲2五歩 △3三角 ▲3七桂 △6五歩 ▲5七角 △4五歩
▲2九飛 △6三銀 ▲9九飛 △7二金 ▲8五桂 △7五歩
▲同 角 △7四銀 ▲9三桂成 △7五銀 ▲9四歩 △8四銀
▲9二成桂 △同 玉 ▲9三香 △同 桂 ▲同歩成 △同銀上
▲同香成 △同 銀 ▲9四歩 △同 銀 ▲同 飛 △9三歩
▲3四飛 △9四香 ▲8五桂 △8四香 ▲7三銀 △7一歩
▲9五歩 △8五香 ▲7二銀成 △同 歩 ▲9四歩 △同 歩
▲9三歩 △同 玉 ▲9八香 △8四桂 ▲3三飛成 △同 桂
▲7一角 △8二桂 ▲8一金 △7三銀 ▲7四銀 △6二角
▲同角成 △同 金 ▲8五銀 △9二玉 ▲7一金 △9一飛
▲8一角 △同 飛 ▲9三香 △同 玉 ▲8一金 △9二角
▲9一金 △4一飛 ▲9二金 △同 玉 ▲3二角 △5一飛
▲6五角成
まで、103手で先手勝ち