山陰名人戦名勝負 2

karasunogyozui2008-03-27

 平成元年の名勝負の藤井・平井戦。16日のレーティング山陰大会のとき、二人にこの話題をふると、平井氏は「おい、いつかなぁ。昭和じゃないか。」と言い、藤井氏もうなずきながら遠い昔を思い起こしていた。
写真は90年優勝の平井氏。


第16期山陰名人戦決勝譜
平成元年(89年)4月9日
米子市皆生温泉 弓ヶ浜荘 


▲藤井真司 (松江市、28歳)
平井正人 (米子市、38歳)


第3譜:指しやすい局面
 たくさんの(観戦の)人影で薄暗くなった盤上は、局面の膠着状態を解きほぐすべく、平井が△6二飛と回ったところ。このまますんなり右銀がさばければ、平井優勢となるのだが、藤井もそんなに甘い男ではない。手堅く▲6五歩と守って△3六歩と慎重に相手の攻撃を待っている。ゆっくりとした戦いになれば、自分が有利と感じ取っているようだ。
 何とかしなければと、平井が動いたが、△7五歩の突き捨てから△7四銀は、藤井にとってありがたい攻撃だった。歩をもらった上に△7三歩と受けさせ、藤井は労せずして指しやすい局面をつくりあげてしまった。
 強く▲6四角と出るのを、平井はうっかりしていたのではなかろうか。



(第2図から)▲6八飛△6四歩▲同歩△同銀▲6五歩△7三銀▲3六歩△7五歩▲同歩△7四歩▲6六角△8六歩▲同歩△75歩▲同角△74銀▲6四角△7三歩(第3図:指手通算58手)



第4譜:消費時間に開き
 ▲6四角に△7三歩の局面。駒台に歩があり、平井の手番なら申し分ないのだが、実際は全く逆。平井の指しにくさが、消費時間となって表れる。△8五同銀に三分。▲8六飛に対する△8六歩に三分。△8二飛でまた三分と、先ほどまで肩を並べていた消費時間に見る間に開きができてくる。
 一昔前の藤井なら、銀桂交換後の局面では、回り道になろうと手堅く▲7六銀などと押さえ込みを図りそうなところだが、最近の藤井は努めてスピードある将棋を心掛けているので、コマの交換が結構多い。終盤の寄せ合いに自信を持ってきた証拠だろうが、ここでもあっさり飛車を替え、▲6四角と後手を引いても平気な顔を見せている。
 飛車は敵陣に打ち込んだが、手ゴマが桂一枚では、強腕平井も手の出しようがない。この辺りは、藤井の指し回しのうまさを褒める一手のようである。三期目の名人に向かい、藤井は絶好調である。(柳)


▲8五歩△同銀▲8八飛△8六歩▲9七桂△8二飛▲8五桂△同飛▲86飛△同飛▲同角△8九飛▲6四角△3五歩▲同歩△同角▲6二飛△3二歩(第4図:指手通算76手)





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