01年支部対抗戦・西部支部選考会(5)

karasunogyozui2008-01-11

第5譜:涓滴
平成12年(00年)12月9日
米子市皆生温泉 西部支部道場
写真は大山。


▲岡田順治(米子市、47歳)
△遠藤良和(米子市、28歳)


 先手としては、もう後戻りはきかない。大駒二枚を切った後、5手目▲5五歩から手をつくっていく。8手目△2四飛はどうだったか。△5二飛から△2一飛成を見て粘る方がまさっていたかもしれない。   
 最終手▲7二金が決め手となり、熱戦はあっけなく幕を閉じた。だれかが「遠藤さん、電池が切れたんじゃないの」と言うと、つられて二人の対局者も笑ってしまった。遠藤不思議流を倒した岡田さんは、この後平野西部名人を破り、西部支部予選を突破、東京行きに大きく近づいた。
 終了後、賞品として贈られたのが、藤井竜王揮毫(きごう)のミニ屏鳳(びょうぶ)。ところが「涓滴」と書かれた文字がだれも読めない。記録係をしていた武永真也少年(米子東高)に恐る恐る尋ねると、「けんてきです」と一言。「どういう意味なの?」「小さなしずくが岩にポタポタと落ちて穴をあけるという故事だと思います。努力を重ねれば、道が開けるという意味です」。
 大会に参加した12人のリッパな(?)大人は、16歳の少年の高説に聞き入っていた。なお、『「涓滴岩をも穿(うが)つ』の引用であることを申し添えておきたい。(日本海新聞観戦記より)


(D図) ▲7一角成△同銀▲3二龍△同金▲5五歩△2九飛▲5九香△2四飛▲3五角△8二角▲6三桂△2一飛▲7一桂成△同角▲7二金まで岡田の勝ち(最終図)


 
追記
 この日の選考試合で、西部支部Aチームは岡田順治、安田一也、平野琢也の3名に決定。
 翌1月14日の鳥取県予選で代表となり、4月に東京で行われる全国支部対抗戦の記念大会(第30回)への進出が決定した。
 明日からは東京編です。