01年支部対抗戦・西部支部選考会(3)

せんりょう

第3譜:不思議流には
平成12年(00年)12月9日
米子市皆生温泉 西部支部道場
写真はせんりょう。


▲岡田順治(米子市、47歳)
△遠藤良和(米子市、28歳)


 3手目勇躍飛び出した△5五角に、先手はじっと▲4六歩。
 「オカダさん、シブイー」と遠藤君、心なしか声が上ずっている。読みにない手を指されたのだ。一歩損した上に、交換した持ち歩を同じ場所に打つ(先手の▲5三桂成に対し、平凡な△5二金の受けは▲6六銀左がある。)
 今日の岡田さん、目には目を、不思議流(遠藤君の代名詞)には不思議流とでも言うべきか。一味違った指し手が続く。さらに五手目△4四角と引かせ▲6八銀左で角交換を強要するマジックのような手順。後手遠藤君としては、鏡に向かって将棋を指しているような錯覚を覚えたのではないか。 
 いつの間にか、遠藤君の口元から言葉が消えた。扇子の音もしなくなった。おとなしい遠藤君を見るのは、いつ以来だろうか。そう言えば、われら四十代は、いつも彼の毒舌の前に醜く笑うだけだった。松江や津山でも鳴り響いた遠藤節。泣く子と遠藤節には勝てぬ。要は将棋で勝てば、彼は語らなくなるというわけか。
 12手目▲2四歩としたのは微妙なところ。単に▲4四角は△5二飛▲1一角成△3七角となる。最終手△2三飛とかわし、遠藤不思議流はわずかに残っている。ここからが正念場である。(日本海新聞観戦記より)


  
(B図)△4五同歩▲同桂△5五角▲4六歩△4四角▲6八銀左△8八角成▲同玉△6五銀▲7七銀△3五歩▲2四歩△同歩▲4四角△2三飛 (C図)通算指手50手