穴熊攻略法

 平野さんは飛車先を突き捨ててから5五に手を戻す。2四歩をタイミングよく指せる人は居飛車党の熟練者だ。池本さんは我慢にがまんを重ねたわりに局面はどんどん苦しくなっていく。私は中飛車穴熊6四銀型が相穴熊で勝った棋譜をほとんど見たことがないので、やはり少し損な作戦なのだと思う。
 平野さんは飛車成りから5二飛の二枚飛車を下ろす。角金の両取りになっている。穴熊将棋のセオリーで「金の価値は角以上」というのがある。普通なら角の方が価値は高いのだが。池本さんは、価値の低い方の角を功けるために金を二枚も取られてしまった。△7一銀打と龍をしかりつけるときも、なえそうな闘志を懸命に奮い立たそうとしていたことだろう。
 それに対する平野さんの▲6一銀が穴熊攻略法の第二弾。初級者から見れば信じられない一手だ。なにせ龍は最強の駒である。相手に簡単に渡すのは納得がいかないだろう。しかし穴熊に勝つには大駒を捨ててでも食らいつかなければならない。(もちろん大駒を渡しても自陣は安全という前提のもとに)。目安としては攻めの駒が持ち駒も含めて四枚あれば食らいつき成功である。ぜひ実戦での参考にしていただきたい。


(三木徹氏の観戦記より)


アマ王将戦地区予選の結果
山陽  (広島市) 優勝・山崎由太郎(広島国際大)
北関東(さいたま市)優勝・遠藤正樹(埼玉県)