行く人、帰ってきた人

 昨日の山陰名人戦、土曜日の段階では、西部支部の3人がベスト4まで進み、決勝は興津・三森の師弟対決という身勝手な予想を立てていたが、残念な結果となった。


 前年度山陰名人の三森君(18)は、四月から進学先が決まり、東京へ発つ予定であったが、この度の大震災で大学の開講が五月からとなった。このことから、山陰名人戦予選会への参加を決心し、昨日は、18年間過ごした米子の地での最後の将棋大会に臨むことになった。
 二回戦で負けた相手が、大田の山内博文さん。終局後、「山内さん、優勝して下さいよ。」と応援の声をかけ、最後まで山内さんの将棋を見守っていた。


 もう一人の代表、安達圭一君(26)は、長らく東京で働いていたが、昨年秋、思うところがあって、高校卒業までの18年間過ごした米子の地に帰ってきた。
 昨日の山陰名人戦、開会式では、恒例となっている両県代表16選手が意気込みを披露する場面がある。試合前の張り詰めた空気が感じられる時である。誰かが「島根県の恥とならないような・・・」と語ったあとだったと思う。司会者が「次は・・・」と振ると、安達君は「ハイ、ニートの安達です。」ちょっと間を置き、今度は「鳥取の恥です!」。会場は緊張の糸が切れ、一気に大爆笑となった。
 初出場の安達君は1回戦で敗退、午後からは控室で出雲の里見咲紀ちゃんと練習対局していたが、安達君の話し声、咲紀ちゃんの笑い声が終わることなく続いていた。


なお、昨日の山陰名人戦では、東北関東大震災義援金山陰中央新報社に寄託しました。内容は次の通りです。
12,000円 山陰名人戦の選手【福富圭さん(益田市)ほか16名】と世話人【岡真次さん(松江市)ほか8名】 
10,000円 日本将棋連盟鳥取県西部支部支部長 田中康晴)