水の音


 米川(よねがわ)は、日野川を取水口として弓浜半島(画像)を背骨のような形で境港に向かって流れている。その水量は豊富で、雨の降らない夏の暑さが嘘のようである。
 早朝、川べりを歩くと、多くの人が散歩していて、知らない同志が朝のあいさつをしている。ちょうど、東の空に大きな太陽が見える頃で、背の低い家屋や小さな繁みも長い影を作ってくれるので、歩いていても日除けのスペースはあちらこちらにある。川べりのスチール製の柵の傍を進むと、汗ばんだ腕に極細の糸のようなものがからまる。道幅も結構広く、背の高い樹木はなく小さな繁みが点在している程度なのに、蜘蛛はどこから糸を運んで来るのだろうか。


 それにしても、米川の水は豊かである。過日、水源地の観音寺まで行ってみたが、日野川はそこでほとんど堰き止められいて、上流方面の川面は深い緑色のダム湖のようになっていた。そこから、毎秒6トンの水(農業用水)が米川に流れていくと言う。観音寺では白い波を立てながら勢いのある流れの米川も、車尾(くずも)あたりからゆっくりとした流れとなっていく。米川の水は、稲作や畑作に欠かせないので、そこからまた水路が蜘蛛の糸のように張りめぐらされていく。
 早朝の散歩も、米川から富益新田へ折れ、ネギやタバコ畑それから家庭菜園の中を歩いていくと、地下から水の流れる音が聞こえる。水路は小川のような流れや、溝蓋(みぞふた)のされたものもある。耳をすますと、単調なメロディーのようでもある。真夏の青空の中、遠くに望む大山(だいせん)や中国山地の森の恵みの賜物である。


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