出雲の子供たち 2007.12.21

 9年前の夏、米子からクルマで走ること約二時間、大社町で行われた将棋大会に米子の中学生達を連れて参加した。その時、初対面の米子の子に話しかける年配の方がいた。石飛一美氏である。しばらくすると二人で将棋を始めたが、氏の表情が何にもまして楽しそうであった。


 里見香奈女流プロ(写真は近代将棋02年6月号)は、パイナップルのリレーエッセイで次のように書いている。
『幼稚園の頃、お父さんとお兄ちゃんが楽しそうに将棋を指しているのを見て、将棋をおぼえました。そして、お兄ちゃんについて私も出雲大社の近くにある島根棋道会に通う事になりました。席主の石飛一美先生は恐そうだけど、すごく優しい先生です。』小学校5年生の時の文章である。



 氏の教え子には、里見香奈女流プロと兄の卓也君は勿論、16日の高校新人戦中国大会で準優勝した渡部哲大君、関西奨励会の来海孝之君はじめ多くの子供達がいる。そして、氏の薦めで、出雲の子供たちは米子の大会に参加してくれる。そのおかげで米子の大会は大変活気づき、また出雲の子供たちも米子をホームグランドのように思ってくれている。
 基礎がしっかりしている子がほとんどで、大会でのこどもクラスは入賞者が多い。ただ一定の年齢に達すると、学生の本分である学業に戻るようにというのが氏の方針であると聞いている。したがって、中学生になると将棋から離れる子が多い。
 そうしたなかで、別の道を選んだのが、この1年間女流棋界の話題の中心となった里見さん、関西奨励会で昇級に向け日々努力する来海君(松江から月2回バスで往復)である。人一倍の才能と根性を持ち合わせた二人の場合、当然の進路のように見える。しかし、氏との出会いがなければ、将棋以外の道を選んでいたかもしれない。
 地道な普及活動を続けておられる石飛一美氏が、山陰棋界の功労者であることを忘れてはいけないと思う。


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