K氏とは?(中の続々々)

 平井氏引退後、名人は山内、平野と代わり、戦国時代の様相を呈してきた。 01年、K氏は3度目の挑戦権を獲得、年少の平野名人と対戦する。1勝1敗の後、3番勝負の最終局を三木徹氏の観戦記(日本海新聞観戦記)で紹介したい。


将棋は執念
 
平成13年11月18日
第24期西部名人戦三番勝負 第3局    新日本海新聞社西部本社
▲名人 平野琢也(米子市、33歳)
△四段 池本健 (米子市、35歳)


64手目から

(C図)▲2四歩△同歩▲5五歩△5六歩▲5四歩△同飛▲2四角△3三桂▲5五歩△同銀▲同銀△同飛▲4六角△7三角▲2二飛成△5七歩成▲5五角△同角▲5二飛△3七角成▲7二飛成△同金▲同龍△7一銀打▲6一銀(D図)通算指手89手


 

(D図)△6七と▲同金△6九飛▲6八金打△5九飛成▲8四歩△7二銀▲同銀成△2二飛▲6二歩△5五馬▲8三歩成△8八馬▲同玉△7九角▲7七玉△6五桂▲8六玉△8五歩▲同玉△8四歩▲同と(E図)通算111手


 △6七とで金を一枚上ずらせ飛車を下ろしたが、▲6八金打と四枚目を投入されると、先手陣は気が遠くなるほど堅い。しかし、池本さんは執念の指し手を続ける。△5九飛成ではふつう1九飛成と香を取りそうなものだが、何かのときに龍で金を取れるようにと判断したのだろう。前譜で紹介した穴熊セオリーにのっとった考え方だ。
 また、△2二飛の自陣飛車も執念を感じさせる。池本さんの△5五馬にもう一枚受ける手もあったが、平野さんは攻め合って大丈夫と判断し、▲8三歩成と詰めろをかけた。
 しかし池本さんは、平野さんの玉に逆に詰めろがかかるほど追い上げる。最終一手前の△8四歩に▲同玉と取ると、何と先手玉は詰んでしまうのだ。△8三銀▲同玉△9三金から始まってかなり長手数の詰み。ここに指し手を書き記すことはできないが、腕に自慢の方は考えていただきたい。
 玉で取れと念力をかけて指した△8四歩だったが冷静に▲同とと取られてみると、依然詰めろはかかったままで適当な受けもなさそうだ。池本さん、絶体絶命の大ピンチをどう乗り切るのか。


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写真は、奈良興福寺阿修羅立像)