3番勝負を振り返って

 昨日おこなわれた西部名人戦3番勝負は本池挑戦者が1敗の後2連勝で新名人誕生となりました。三森名人は初防衛ならず残念な結果となりました。かかった手数が第1局200手、第2局170手、第3局101手、その数なんと合計471手!予想通りの大熱戦でした。二人が一心不乱に盤上の読みに没入し火花を散らしあう様子を見て指導員も感動しました。


 それでは3番勝負を振り返って見たいと思います。


 第一局は最も熱戦だった一局です。


 本池君の作戦はミレニアム囲いでした。三森君が四間飛車藤井システムで来ることを予想してあらかじめ用意していた作戦だったようです。本池君の居飛車穴熊を予想して作戦を立てていた三森君には意外だったかもしれませんが、得意の穴熊に組み替え形勢は互角です。


ここから本池君が仕掛けます。
▲4五歩  △5五歩  ▲同 角  △4二飛  ▲6六角  △1五歩  ▲同 歩  △3五歩  ▲2四歩  △同 歩  ▲4四歩  △3四銀  ▲3五歩  △同 銀  ▲4五桂  △4四角  ▲同 角  △同 飛  ▲5三桂成 △4六角    



 △4六角が「次の一手名人戦」でも出題された手でした。▲6四歩を警戒しての攻防の一手でしたが、自然に△4九飛成と飛車を成っておくほうが良かったのでは・・・。ここから本池君がわずかにリードしながら、お互い秘術を尽くした攻防が続きます。


 三森君がミレニアム囲いの急所の桂頭を△7五歩と攻めますが、本池君も▲5五桂と反撃します。ここでズバリ△5五同馬と切って、△5二銀打と固めたのが穴熊の攻防を熟知している三森君らしい手順でした。30秒の秒読みの中、一方的に攻められるのは本池君にとってつらいものがあります。


 しかし本池君は驚異的ながんばりで三森君の攻めをしのぎ、穴熊を薄くして勝負形に持ち込みます。△7八とで受けのなくなった本池君、ここから▲8三桂不成以下猛然と後手玉を詰ませに行きます。結果は残念ながら痛恨のミスが出て詰ませそこなった本池君の惨敗です。三森名人の先勝となりましたが、終局後しばらく口も聞けないくらい疲労困ぱいの二人でした。


 続きは明日。