第30期西部名人戦三番勝負対局風景


以下は、日本海新聞観戦に掲載された第2局の観戦記(三木徹氏)からの抜粋です。


 年齢差五十六歳
 「それにしても厳しい将棋だね」第一局をわずか五十七手で落とした直後の名人の言葉である。その言葉の主、勝部素光名人は七十歳。昨年山住名人の五連覇の夢を打ち砕き名人の座に就いた西部棋界きってのベテランである。
 一方、史上最年少で挑戦権を獲得した三森和明三段は十四歳。米子市立福米中学校の三年生である。この対戦は年齢差五十六歳。開始前から果たしてどのような結末を迎えるのか注目を集めた。
 その注目の第一局、三森君は先手をにぎると得意の石田流に構えた。そして、まだこれから駒組みかと思われた十七手目に颯爽(さっそう)と仕掛け相撲で言う電車道の圧勝を収める。感想戦を終え思わず漏らしたのが冒頭の名人の言葉である。しかし、名人位を奪取した昨年も第一局は落としている。その言葉には、さあこれから巻き返しだという余裕も感じられた。
 昼食後の第二局。名人は力強く飛車先を伸ばした。 一方の三森君は角道を止め中飛車に振る。そして、こちらも力強く△9二香。先手番の石田流と合わせて三森システムとでも言うべき振り飛車穴熊だ。今度はじつくりとした長い戦いになる。名人はどのような穴熊対策を見せるのか。 



 頼もしい挨拶
 会場は新日本海新聞社西部本社三階のふれあいホール。朝十時の開始前に田中康晴大賞(西部棋界の年間MVP)の発表と対局者による三番勝負決意表明がある。
 勝部名人は西部棋界への思いや新聞社、運営関係者への感謝など、さすが名人と言うべき卒のない挨拶であった。 
 一方の三森君。この大人数の前でどんなことを語るのか、みんな固唾(かたず)を飲んで見守る。そして出た言葉は、「西部支部のおかげでここまで来ました。感謝の気持ちを駒に乗せてがんばりたい。」それを聞いた西部支部のおじさんたちはニヤリ。彼はまだ若いけど名人になることを許される、そんな空気がホールに満ちていくのを感じた。
 



カラスの勝手 「人気ブログランキング」に参加しています。
←ここを1日1回応援のクリックお願いします。


旅ガラス 今日から旅に出ますので、明日は指導員が更新します。