華厳の滝
遠い記憶の向こうの8月。旅に出て、途中からヒッチハイクを始め、気がついたら長野・群馬・栃木まで来ていた。日光に有名な滝があって行ってみたが、水が一滴も流れていない。ガイドはその昔ここで学生*1が詩を残して自殺したことを繰り返すが、全くイメージが湧かず、蝉の鳴き声だけが耳に残っている。
今思えば、なぜ死んだのか理解できない。が、その時は結構感きわまっていて、自分と同じ年齢でなぜそういうこと(死に方)ができるのかと考えていた。
しばらくして、東武の日光駅の近くを歩いていたら、背後から二人の男に押さえつけられた。刑事だった。「家出少年だろ。お前みたいなのが、いっぱいる。」手を振って違うことを説明するが、「お前の言葉は標準語だ。東京から家出してきたんだろ!」。で、米子弁で話そうとする(方言を話せば分かってもらえるという単純さ)が、咄嗟に出てこない。
身振り手振りで説明した後、ようやく釈放されたものの、急に気が小さくなって、米子までどうやって帰るのか(ヒッチハイクする勇気も萎えてしまって)ぼーっとしていた。
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*1: 学生は当時大きな話題となった旧制一高の藤村操で、遺書「巌頭の感」を残して明治36年自殺した。