戦いすんで…

 4時30分。「将棋クラブ」は終了。「王手を言った、言わない」という子供同士の対局があったことから、「必ずしも言わなくてもよい」ということを西部支部スタッフから説明。最後にJリーグの昇級者を発表、参加者全員で拍手して閉会となった。
 4時50分。最後の本池君が終局し、感想戦も終わった。
 結果は2勝2敗。
「4局とも内容がよかった。恥ずかしくない将棋だった」
 西部支部スタッフは一様に安堵(あんど)の表情。


 日が傾きはじめたその時、矩口さんが岩根プロを急(せ)かした。
「すぐ近くの湖岸に石のベンチがあって、将棋盤が掘り込んであるんです」
 プラ駒を一つ手にすると、戸外に出た。
「そんな所があったのか?」
 怪訝(けげん)な表情の西部支部スタッフは、矩口さんの後を追った。プロの眼力と行動力に感心するばかりであった。
 穏やかな湖面の中海。幾つかの小島があり、遠くに島根半島の山並み。曇天の厚い雲を見て、「夕焼けがほしい」という矩口さんの言葉に思わず相槌をうってしまう。
「盆にはここで灯篭流しをします」という誰かの言葉に、取材の3人の方はしばらく湖面を見やっていた。

写真は中海の夕日。