タバコの煙と将棋の強さとの関係

☆調査の動機
 私が将棋大会で対戦した方の中に、こんなことを言う方が居た。「私はタバコを吸うと将棋が強くなるんだ。」それを聞いた時に「本当だろうか」と思い、そこから調査は始まった。


☆タバコの煙に含まれる有害物質
 タバコの煙の中には、ニコチンやタール、一酸化炭素など、数多くの有害物質が含まれている。
 タバコを吸つたとき、口の中に入つてくる煙を主流煙、点火部から立ち上る煙を副流煙と呼ぶが、煙に含まれる主な有害物質の量を比べると、主流煙より副流煙の方が多い。しかも、タバコに火のついている時間のうち、煙を吸い込む時間よりは、手に持つたり、灰皿に置いている時間の方が長い。従つて、タバコを吸わない人でも、近くで誰かがタバコを吸えば、否応なしに副流煙を吸うことになる。タバコは、喫煙者だけでなく周囲の人にも害を及ぼすのである。



☆グラフの説明
 タール含有量は、副流煙は主流煙の3.4倍、アンモニア含有量は46倍、一酸化炭素においては4.7倍、二酸化炭素は1.3倍となつている。又、グラフ中には無いが、ニコチンは2.8倍含まれている。


☆各有害物質の体への影響
タールには多くの発ガン物質が含まれている。
ニコチンは自律神経に作用して血管を収縮させ、心臓などへの血液の供給を減らす、毒物であり、狭心症のような症状を起こしたり、胃腸での消化を妨げたりする。
アンモニアは目やのどを強く刺激するため、涙が出たり、咳が出たりする。副流煙を吸う人がよく顔をしかめているのは、主にこの物質のせいである。
○―酸化炭素は酸素の300倍も赤血球中のヘモグロビンと結び付きやすいがために、酸素の各器官への供給を妨害し、体が酸素欠乏に陥り、思考力や判断力、作業能率等が低下する。


☆有害物質の作用と将棋の強さとの関係
 以上のことから考察して、私は次の様な仮説を立てた。


○仮説1:相手が弱くなる
 副流煙を吸う相手の方が有害物質の授取量が多くなるため、思考力が低下して喫煙者よりも相手が弱くなる。


○仮説2:覚醒剤的効果
 「ニコチン依存症」の言葉に代表されるように、タバコを一種の覚醒剤(麻薬)と考えると、喫煙常習者がタバコを吸うことによつて、酒を飲んだ時のように調子よく感じたり、禁断症状から解放されて新しい発想が浮かんだりする。


☆結論
 二つの仮説のうち、どちらかに絞つて考えるよりも、二つが同時に起こつているとして考える方が自然である。確証は得ていないが、冒頭の方の発言もあながち嘘では無いと言うことができる。


☆感想
 将棋の強さに関することだけでなく、沢山の人がいる部屋の中で喫煙することは、他の人に喫煙を強要しているのと同じことである。少なくとも、マナーだけは守つて頂きたいものである。


カラスのコメント
 現在の大会は禁煙とし、会場外に喫煙場所を設けています。(当時は、大きなマスクをつけて、大会に参加する子供もいました。)
 また、道場でも、こども教室の時は禁煙としていますので、小中学生と対局の時に喫煙する人はいなくなりました。