第1譜 真剣一代


平成8年4月14日
大阪通天閣将棋センター


▲先手 平井正人(米子市、45歳)
△後手 大田学 (大阪市、81歳)


 4月14日、快晴の日、大阪通天閣二階の将棋センターに大田学翁を訪ねた。薄茶色のコートを羽織った翁は、愛用の駒を取り出すと、「山陰中央新報に載るんですね。あなたが平井さん、ホウ強いんでしょ。負けるかもしれないな。」故郷倉吉の訛(なま)りは消えている。
 兵役を終え帰郷した大田さんは、鳥取市吉方の道場で師匠の宮脇敏行氏のもと急速に力をつけ、数年後には県内無敵、強豪を求めて全国各地へ真剣師の放浪の旅に出た。現在八十一歳。第1期朝日アマ名人が表舞台の肩書きである。
 昨年、大田さんの盤寿の祝いが東京で行われ、多くの人々から祝福を受けた。出席者全員に贈られた彫り駒には、真剣一代の四文字があった。
山陰中央新報観戦記から)


▲26歩△84歩▲25歩△85歩▲78金△32金▲24歩△同歩▲同飛△14歩▲26飛△34歩▲96歩△94歩▲76歩△23歩▲38銀△86歩▲同歩△同飛▲77桂△62銀▲16歩△74歩(A図)指手通算24手
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